日本のプラントメーカー、電力会社、燃料成型加工メーカーらで構成される「アジア原子力人財プロジェクト委員会」、「アジア原子力高度専門教育事業委員会」、「アジア原子力人財選考委員会」を設置しています。「アジア原子力人財プロジェクト委員会」では、プロジェクト全体の円滑な運営、進行管理、関係機関との調整等を、「アジア原子力人財選考委員会」では、コンソーシアム構成メンバーも加わり、参加留学生(国費留学生)の候補者を選出しています。また、コンソーシアム企業に加え、外部識者で構成されている「アジア原子力高度専門教育事業委員会」では、高度専門教育プログラムのカリキュラム構築、講師の選定や新規開発科目等の検討を行っています。同委員会の下には、3つのワーキンググループを設置し、詳細なカリキュラムの検討を行っています。さらに、外部識者を交えた「アドバイザリーボード」からの第三者評価によってプログラム運営への助言を受けています。
プログラム実施の背景
昨今、地球温暖化対策およびエネルギー・セキュリティー確保の両面から現実的で有効な発電技術として、世界的に原子力発電が再評価され、米国をはじめアジア諸国では積極的な原子力発電所建設計画を発表、あるいは検討しています。現在、世界の主流である軽水炉型原子力発電技術を提供できる主要プラントメーカーは、東芝・ウェスチングハウス(米国)、三菱重工・アレバ社(フランス)、日立・ゼネラルエレクトリック(GE)(米国)の3企業連合体であり、いずれも日本のプラントメーカーが深く関わっています。世界的な原子力ルネッサンスという潮流の中で、今後旺盛な海外の原子力プラント需要に対応するためには、これらの企業にとって、優秀でグローバルな技術系人財の計画的確保が喫緊の課題です。また、本学創立者・松前重義博士は、昭和30年の「原子力基本法」成立に関わっており、博士の教育理念に基づき、原子力の平和利用の研究・教育と国際貢献を目的として「工学部原子力工学科」および「大学院原子力コース」が設置されました。本学は、これらを設置した日本で最初の教育・研究機関です。特に、安全工学、放射線管理の分野で原子力産業界に優秀な人財を輩出してきた実績を生かし、良質でバランスの良いグローバル志向の高度原子力人財育成を目指しています。
事業体制

国内原子力人財の不足
日本国内では、若年層の理工系離れやチェルノブイリ事故などをきっかけとした、長年の原子力産業の低迷等による学生の職業・研究対象としての原子力離れが進んできています。これを背景とした各大学の改組改編などによって、原子力教育がエネルギーや環境といったより広い分野で扱われるケースが多くなり、原子力専門教育のレベルが一般的に低下しています。さらに、今後20年間で若年労働人口が約3分の2になるとの推計もあり、日本企業の世界的な事業展開を担うグローバルな原子力人財は不足しているのが現実です。日本の原子力システムが海外輸出に成功すれば、輸入先の現地で相当数の高度専門グローバル対応人財が必要になることは目に見えており、この人財を優秀な外国人留学生に求めたのがGIANT(Global Initiative on Asian Specialized Nuclear Power Personnel Program, Tokai University)プログラムです。
産学連携専門教育プログラム
通常の原子力系専攻修士課程では、原子力事業に関わる基礎技術とその応用方法の修得を目的とした教育に重点を置いており、入社後の研修等で初めて実務的な知識を習得しているというのが実状です。そこで本プログラムでは、通常カリキュラムに加えて原子力高度専門教育を留学生に施し、原子力関連企業で戦力として活躍できる実務的基礎知識を備えた人財を養成することで、通常の修士課程修了者との差別化を図っています。この原子力高度専門教育では、9つの講義科目を設け、各分野の第一線で活躍する専門家をコンソーシアム企業や関連機関から講師として招聘しています。また、本プログラムでは、原子力関連企業でのインターンシップや日本の原子力事業を理解するため、代表的な原子力施設の見学や留学生本人が就職を希望する企業の見学等を実施しています。これにより、留学生と就職先企業の相互理解が深まり、よりマッチ度の高い就職支援が可能となります。
ビジネス日本語
企業で働いた経験がないだけでなく、日本とは異なる文化や習慣を持つ留学生にとって、日本企業への就職準備や就職後のためのビジネスコミュニケーションを学ぶのは難しいものです。ましてや大学院で研究に多忙を極める中でのビジネス日本語学習は、明確な動機付けが不可欠となります。そのため、東海大学では学生一人一人が自分のキャリア・プランを具体的にイメージしていけるような活動を授業に取り入れています。現在の自分を見つめ、将来に向けてこれから何が必要か、どのように目的に向かっていけばよいのかなどを段階を追って認識できるようなプログラムを用意しています。また、授業は学生のレベルに応じてクラス分けをし、カリキュラムを作成しています。特に製造業への就職を希望する学生が多いというニーズを重視し、それに合わせた就職支援を始め、日本企業の文化や習慣を知るための読解やビジネスコミュニケ―ションに特化した会話練習など実践的な授業運営をしています。
リクルーティング体制

原子力発電所の導入計画が進んでいるアジア諸国(ベトナム、インドネシア、タイ、カザフスタン、モンゴルなど)の有力大学、協定大学、原子力関連機関や政府機関を訪問し、広報活動を行っています。本プログラムに協力する大学・政府関係機関関係者を「海外アドバイザー」に任命し、現地代表として広報活動をする体制を確立しています。また、英語、ロシア語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、モンゴル語の本プログラムのパンフレットを作成し、GIANTプログラムに対する理解力向上に役立てています。
