国立大学法人 東京農工大学

グローバルIT人材の育成に向けて

国や地域を越えて活躍できるグローバルな人材の育成――それは日本のみならず、アジア圏全体、ひいては世界全体に課せられた急務であると同時に、地球社会の未来を担う若者たちに向けた切なる願いでもあります。東京農工大学では、アジア経済の成長・発展の原点であり、日本が国際競争力を持続しつつ、今後もさらなるアジア展開の拡大を目指す伝統的な「ものづくり」の分野に、時代の最先端にあって、人々の暮らしを支える産業社会の基盤を担う情報処理技術を高度に融合させた「先端ものづくりIT」の分野に早くから注目し、この分野で活躍するすぐれた人材の育成に力を注いできました。本学独自の長期インターンシップ制度や日本語教育システムなどを「アジア人財資金構想」と連動させ、産官学連携活動や海外リクルーティング活動と一体化させることにより、さらに効果的で有機的な高度人材育成プログラムを強力に推進しています。

一期一会の海外リクルーティング

アジア圏からの優秀な学生の獲得に向け、東京農工大学では、本学海外拠点や、現地で大学教員として活躍中の本学OB/OG(元留学生)によるネットワーク等をフルに活用しつつ、特にタイ・ベトナム・中国の姉妹校を中心として、精力的なリクルーティング活動を展開しています。プロジェクトリーダー以下、アジア人財プログラム実行委員を主体としたメンバーによる現地訪問時には、学生を対象とした募集説明会に加え、本プログラムに興味を抱く学生との個人面談や、現地大学・企業関係者との情報交換を行い、課題やニーズの共有化にも努めています。産学連携教育科目を共同開発している企業からもスタッフが同行し、常に「企業の目」を意識した運営を行っています。また、第一次書類選考通過者全員に対して現地で面接審査を実施し、将来、「アジア人財」として輝く学生かどうか、公平かつ総合的な判断に基づく選考を行っています。

学生個人のポテンシャルを引き出す長期インターンシップ

先端ものづくりにおいても、分野に関する専門知識・技術だけでなく、あらゆる産業にとって基盤となるITを利活用できる技術者が求められています。しかし、大学での勉強や経験だけでは、産業界の状況やそこで期待される人材像を実感できないことが多く、インターンシップは大学での研究・教育を補完し、強化するための有効な手段です。実施にあたっては、協力企業からの受入れテーマや研修内容の提案と学生のスキルや適性、希望などとのマッチングを取り、研修先と組織間の覚書を交わしています。また、開始前には、安全管理や機密保持などとともにビジネスコミュニケーションに関しての事前教育を実施し、インターンシップの中間と終了後には報告会を開催すると同時に、企業・学生の双方にアンケートを依頼し、教育効果の検証や改善案の作成などを行なっています。インターンシップといえば、通常、長くても数週間の事例が多いと言われていますが、東京農工大学では、約3ヶ月という長期間に渡っての実施を奨励しています。そのため、インターンシップ期間中には、実際に企業の職場での業務の一部やプロトタイプ作成・評価などを任されることが多く、学生も事例ベースで目的志向の技術開発・自己学習をすることが可能になります。生きたビジネス日本語、日本ビジネス文化に直接的に触れ、さらに、それらを自分なりに消化吸収した上で、今度は自ら発信してみる――。長期インターンシップは、就職活動を前に「擬似日本企業人体験」を行うことができる意味からも、大変重要であるといえます。また、インターンシップは就職活動前の修士1年後学期に実施しているため、学生にとっては、大学とは異なる環境に身をおくことからの気づきも多く、産業界で活躍する自らをイメージしながら、自分の得意なことや不足していることなどを自覚し、残りの学生生活での勉学へのモチベーション喚起になるなど、企業・学生とも産学連携の有効な手段として高く評価しています。

渡日後の不安を取り除く現地事前日本語教育

東京農工大学では、プログラム開始前に、入学予定者を対象とした現地事前日本語教育を行なっています。渡日前に集中的に日本語を学び、日本語能力を伸ばすことで、日本での学習および研究生活に不安を持つことなく適応していけるようにすることを目的としています。実施拠点はタイのバンコク、ベトナムのハノイ、中国の上海の3拠点です。初年度の平成20年度は、唯一の現地採用生であったベトナム人学生を対象にハノイ国家大学外国語大学にコース実施を委託し、5週間(8月~9月)の集中コースを行いました。学生のニーズに合わせたきめ細かい学習内容が組み込まれ、対象学生は、来日後、在学選考された他の学生たちと机を並べ、何ら問題なく勉強することができるレベルにまで到達しました。平成21年度はベトナムのハノイとタイのバンコクの2拠点で5週間(8月~9月)に渡って実施しました。ハノイでは2名の学生を対象に前年度と同様、ハノイ国家大学外国語大学で実施しました。一方、タイでは泰日経済技術振興協会(TPA)に委託し、4名の学生を対象に集中コースを行ないました。いずれも基本的な日本語のコミュニケーション能力をしっかりと身につけ、来日後の学習への自信をつけました。現地の日本語教育機関と連携して日本語コースを実施することで、来日後の日本語研修コースにおける充実した学習内容の開発・シラバス設計が可能になっています。今後もグローバルな視点で、プログラム生に対する日本語教育支援を展開していきます。

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