
留学生採用を始めたきっかけや時期、現在の状況を教えてください。
採用開始は、1986年です。当社の市場が海外に向き始めていた時期で、国内でキャリア採用を行いました。86年以降は、都度、必要に応じて留学生を採用していたのですが、95年になり、「これからは、目先だけの考えを止めて、もっと長期的な視野で考えよう。留学生を定期的に採用し、将来的に海外現地法人で活躍してもらえるブリッジ人材を育てよう」と決め、97年から毎年数名を新卒採用しています。留学生からの採用者は、現在14名です。国籍の割合は、中国が約6割を占め、他はアメリカ、韓国、台湾、バングラディッシュ、パキスタンです。現在は、社内に留学生がいて当たり前、という雰囲気になっています。
留学生は英語や母国語などの語学面のレベルが素晴らしく、即戦力として活躍する可能性が高い点で安心感があります。また、新卒採用同期に留学生がいると、全体に活気が生まれます。積極的な発言をしたり、海外を視野に入れたアクティブなキャリアプランを出す社員が増え、会社として頼もしい限りです。
留学生を採用して、これまでに苦労したことは特にありません。敢えて挙げるとすれば、海外出張の際、国籍の関係でビザ取得が必要になるケースがあり、出張準備に若干時間を要することがあるくらいです。
今までは、技術者を中心とした理系採用をしてきましたが、現在では海外での売上が全体の半分以上になってきていることや、営業エリアが欧米、中国を中心とするアジア圏はもちろんのこと、ロシア・インドなどのBRICS圏など世界に広がっていることから、今後は、スタッフ系や営業の分野などの文系採用も考えています。
留学生の採用ルート、選考方法について教えてください。
ここ数年は、専門の業者にお願いしたり、留学生向けの就職フェアに参加するなど、さまざまな形で採用への努力をしています。海外の優秀な学生に来ていただけるように、海外大学からの採用も検討しています。最近では、中国のある大学と共同研究室をつくるなど、独自の採用チャネルの開拓も行っています。現在はまだ種蒔き段階ですが、まずは、当社を知ってもらうことが肝要だと思い、活動しています。
選考方法は、原則日本人と同じです。日本語能力については、ある程度は寛容にみたいと思っていますが、コミュニケーションがとれないと仕事はできませんので、厳しい判断をしています。しかし、技術者の場合、多少日本語能力は不足していても、英語能力が高い場合は考慮しています。
鮮于さんも、日本人と同じ基準で、筆記試験も予備選考もクリアし、集団討論の際も、他の学生と遜色なくコミュニケーションがとれていたため、最終面接に推しました。
当社は、日本企業として、日本文化を学んでいたり、日本を理解したいと思っている人材を望んでいます。さらに、日本人が不得手な行動力や積極性を持つ留学生が理想です。
鮮于さんは、採用決定後に九州工業大学で行われた留学生の説明会でも、スピーチを堂々とこなした上に、依頼する前から、ブースの手助けなどを率先してやってくれました。その様子を見て、「鮮于さんを採用してよかった」と、確信しました。
入社後の研修、評価方法、キャリアプラン、キャリアパスはどうなっていますか。
研修は導入研修や工場実習など半年から1年間、日本人と同じ内容で行います。キャリアプランは、中長期的な視野での人材育成プランとして、今後5年間とそれ以降の計画を作成します。本人の申請に基づき、面談を通じて上司が確認し作成します。このプランは本人も閲覧できるものです。これも日本人と同じです。
処遇はオープンで、キャリアパスの公表も行っています。自分の格付けがわかるようになっていますので、目標を持って業務に従事できる環境にあります。また、日本人と同じキャリアパスを描くことが可能ですし、本人が望めば、現地法人に出向できるようにもなっています。大卒の場合、入社後10~12年で係長、15~18年で課長(管理職)クラスとなりますが、これも日本人と外国人で差はありません。当社の本体部分の離職率は、日本人で2%、外国人はもっと低い数値ですので、現実的に、働きやすい環境を提供できていると思っています。
「アジア人財資金構想」に対して期待すること、要望等はありますか。
鮮于さんのように、実直で情熱のある人材を、直接ご紹介していただきたいと思っています。そのためにも、当社を伝えるさらなる努力をしていきたいと思っています。
Company Information

株式会社安川電機
本社所在地:北九州市八幡西区
事業内容:モーションコントロール/ロボット/システムエンジニアリング
設 立:1915年7月16日
従業員数:連結8,463名 単独2,831名
■1977年、日本初の全電気式産業用ロボットを生み出し、出荷台数世界トップシェアを獲得。
■1984年にAC サーボドライブを市場投入。ACサーボ・インバータともに、世界シェアNo.1。
就職難の時代だからこそ前向きに。
鮮于 潤さん
出身地:韓国 忠清南道公州市
出身大学:九州工業大学大学院 生命体工学研究科 生体機能専攻
「アジア人財資金構想」 高度専門留学生育成事業 財団法人北九州産業学術推進機構(略称FAIS)
北九州学術研究都市高度専門留学生育成プログラム 第1期卒業生

日本に留学したきっかけや時期を教えてください。
留学のきっかけは、韓国で在籍していた大学の教授の一言です。「君の学んでいる電気工学の分野は日本がとても強いし、進んでいる。さらに勉強するために日本へ行ったらどうだ」と勧められたからです。正直、それまでは日本にまったく興味がなかったのですが、高いレベルで電気工学を学びたいという気持ちから、日本へ行く決心をしました。一方で、うまく馴染めるのかという不安もあり、交換留学制度を活用して、九州工業大学へ1年間留学しました。そこで改めて「もっと日本で学びたい」という気持ちが強くなり、韓国の大学を卒業後、2007年4月に九州工業大学大学院に入学しました。
就職活動はどのような方法で行いましたか。
せっかく日本に来たのだから、日本で是非、就職したいと思い、就職活動は日本のみで行いました。最初は、あまり考えずに興味のある会社を30社ほど選んでエントリーしました。就職活動で一番大変だったのが、エントリーシートを書くことです。研究内容や志望動機はすらすらと書けたのですが、自己PRで苦戦しました。そこで、同じ研究室の先輩が書いた自己PR文を参考にしながら、自分なりにつくった文章を、日本人の同級生に手直ししてもらい、そこに伝えたいことを加えて、ようやく完成することができました。
就職活動の途中からは、やりたい仕事がある会社に集中的にエントリーして、最終的には電機メーカー5社の面接を受けました。
安川電機に就職を決めた理由は、自分がやりたいモーションコントロールの仕事があったことと、2ヶ月間インターンシップに行った際の印象がよかったことです。
実際に会社に入っていかがでしたか。
2009年4月に入社後、念願のモーションコントロール事業部に配属が決まり、とても嬉しく思っています。今は研修中で、実際に業務を行うのはこれからですが、「アジア人財資金構想」のプログラムは、さまざまな面ですでに役立っています。
特に役立ったのが「ビジネス日本語教育」です。仕事上では、日常会話だけでは通用しません。また、「日本ビジネス研修」で学んだ電話応対や名刺交換などは、同期の中で一番スムーズにできました。入社前に学ぶことができて本当によかったです。これらのプログラムを受けることができたのも「アジア人財資金構想」プログラムの国費留学生として選ばれ、国費奨学金を支給され、経済的な援助をいただけたからです。
あなたのキャリアビジョンや夢を聞かせてください。
1日も早く立派なエンジニアになリ、会社に貢献したいと思っています。そのために、もっと日本語を習得し、社会への適応能力もさらに高めていきたいと思います。またこの先、韓国や中国などアジア圏において、会社の国際化の力になりたいとも考えています。
後輩には、就職難な時代だからこそ、前向きに、自分のやりたいことを見つけて、それをぜひ仕事に活かして欲しいと思います。また、自分がその手本となれたらとも思っています。

