
留学生採用を始めたきっかけや時期、現在の採用状況について教えてください。
1993年に中国の留学生を1人、初めて採用しました。その年に、上海に会社を設立しましたので、将来的に中国で活躍してもらうことを期待しての採用です。しかし、当社の採用は、以前から人物本位なので、留学生だから採用したのではなく、その人が優秀だったためです。実際に、その留学生は、中国の現地法人のある分野で、事業責任者を4年間勤めた後に、日本で国際事業推進部長として現在も活躍しています。曠さんについても今後、当社で活躍してくれることを期待しています。
当社の本社には、中国からの留学生出身者が現在7人在籍しています。2009年4月採用については、曠さんを含め2名の留学生を採用しました。これからも、新卒やキャリア採用に関係なく、優秀な留学生を積極的に採用していきたいと思っています。
留学生採用において、特に問題が起こったことはありません。当社では、ビザ取得などについてアドバイスはしますが、書類の取り寄せや提出などは、本人の責任で行ってもらうようにしています。冷たく聞こえるかもしれませんが、日本の会社で働く以上、そのために必要なことは、すべて個人個人が管理するものだと思うからです。これまで入社した留学生のみなさんは、それを理解し自分で行動してくれています。
このように他国出身の人たちと一緒に働くことで、社内が多様性を受け入れる素地ができたことは、私自身大変嬉しく思っています。留学生の採用ルート、選考方法について教えてください。
関西圏を中心に、留学生フェアや企業研究セミナーに参加しています。
採用試験につきましては、留学生と日本人を分けることなく、試験も同じ内容で、日本人と一緒に受けていただきます。原則、テストは参考程度にして、面接を重視しています。留学生は、日本語のハンディがあるのは当然ですが、日本企業で日本人と一緒に働いてもらうわけですから、特別扱いはしません。我々の仲間になってくれる意志を持っている人間かどうかを確認します。とは、言いましても、留学生を採用するにあたり、日本人と同質であることを期待しているわけではありません。日本人とは違う発想で物事に取り組むことができるのが、留学生の素晴らしいところだと思っていますので、その点を仕事で発揮してもらえる留学生を求めています。
入社後の研修、人事考課、キャリアパスはどうなっていますか。
入社後も日本人とまったく同じです。新卒の場合、全社でプログラムされた新入社員研修と、各階層で研修を行っています。
当社は、人事考課のことを、チャレンジ制度と呼んでいるのですが、半年に1回面談をした上で、年間で評価を行っています。また、新入社員の上司には、新入社員の3年間の育成計画を出してもらうようにしています。3年後にこんな姿になってほしいということと、その姿になるために必要な育成内容を、時系列で作成してもらうのです。それを、関係者全員に公開共有し、また本人に3年後の期待値を示すことで共に成長しようという意欲を持ってもらいます。ほかには、自己申告制度といいまして、部署変更の希望などを直接人事部に伝えることができる制度もあります。
留学生専用のキャリアパスは敢えて用意していません。中国人だから中国に行くということはありませんし、当社としては、無理に用意することはないと思っているからです。もちろん、文化的に適応するために、言葉の問題は大きいと思いますが、留学生と日本人に分けて考えずに、本人の希望を考慮しながら、総合的に会社で考えるものだと思っています。
「アジア人財資金構想」に対して期待すること、要望等はありますか。
留学生に限らないのですが、コミュニケーションができなくては、会社ではうまく働けないと思いますし、それ以前に採用されないと思います。そういった意味で、「アジア人財資金構想」プログラムの、ビジネス日本教育は、とても有効ではないかと思います。日本の風土を知っていて、それを身をもって体験している留学生は、採用する側として大変魅力的だからです。
言語だけではなくて言われたことを受け入れる素直さを持っていたり、相手の気持ちがわかった上で行動できる人材を、日本の企業は求めていると思いますので、「アジア人財資金構想」の教育が今後、さらに広まることを願っています。
Company Information

日本ペイント株式会社
本社所在地:大阪府大阪市
事業内容:塗料全般の製造及び販売表面処理剤、電子部品材料などの製造販売
設 立:1881年3月14日
従業員数:1691名
■日本の塗料工業のリーダーとして、塗料事業・ファインケミカル事業の2つのセグメントで事業を展開。
■塗料事業は、自動車用・汎用・工業用・自動車補修用・船舶用・家庭用・道路用などで構成されている。
「アジア人財資金構想」でいいチャンスをもらえました
曠 贏寰さん
出身地:中国 遼寧省
出身大学:東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻
「アジア人財資金構想」 高度専門留学生育成事業 国立大学法人東京大学
技術経営戦略学アジア人留学生向け専門教育プログラム 第1期卒業生

日本に留学したきっかけや時期を教えてください。
両親に高校で日本語を勉強することをすすめられたので、日本語が勉強できる高校に入りました。その後、大学進学を考えた時に、中国では受験生が多くて、倍率も高いため、日本に行く方が高いランクの大学で勉強できると知り、留学し日本の大学に入ることを決めました。2002年7月に高校を卒業した後に、日本語学校へ入学、10月に来日しました。日本へは1人ではなく、同じ高校の同級生と一緒に来ましたので特に不安はありませんでした。
大学の入学試験の願書を書くときは、少し戸惑いました。中国にいた時には、とにかく勉強をして、良い大学に入ることが将来のためだと教えられてきましたので、どんな勉強をしたいかなどとは考えたことがなかったからです。理系の中でも得意な数学が活かせる工学部への進学を決め、東京工業大学を受験して、合格しました。2003年4月に入学し、情報工学を学んだ後に、2007年4月からは東京大学大学院で技術経営戦略学を学びました。「アジア人財資金構想」のプログラムも、4月から参加しました。プログラムの中でも、特に勉強になったのは、産学連携専門教育プログラムです。企業の方から、直接仕事の考え方や進め方をお聞きすることができました。今の仕事にも活かされています。
就職活動はどのような方法で行いましたか。
大学院1年生の6月に、就職活動を始めました。自分で興味のある企業を10社受けました。就職活動では、エントリーシートを作成することが一番大変でした。エントリーシートの内容が、日本人の学生を想定されてつくられているからです。例えば、中国には部活がありません。大学までの生活は、とにかく勉強することが一番と考えられているので、勉強以外の経験が少ないのです。さらに、日本の大学に入っても、生活費を稼ぐためにアルバイトをするばかりで、サークルなどの経験もできません。もちろん、こういった少数の留学生受験者のために、企業が時間を費やすことはできないと思いますが、少しでも配慮いただけたらありがたいと思いました。面接では、価値観の違いなどで、企業の方と話がずれてしまうことが不安でしたが、なんとか乗り切ることができました。日本ペイントから最初の内定をもらえましたので、就職活動を終わらせました。
実際に会社に入っていかがでしたか。
まだ研修中ですが、大変充実しています。まるで、学生時代3日分のことを今は1日でできるぐらい効率的な毎日を送っています。今は、1日も早く、専門性を身に付ける ことが第一だと考えています。また、各業界とのつながり方、日本人の価値観や世界経済の動向を学んでいます。
これから就職をする留学生にメッセージをお願いします。
学生時代は勉強だけでも大変だとは思いますが、企業や社会について知識として学んでおいたがいいと思います。後々必ず役に立ちます。

