
外国人採用を始めたきっかけや時期、現在の状況を教えてください。
弊社では、本格的に外国人財を意識して採用し始めたのは2000年頃からとなります。そのきっかけとなったのが、海外展開を行う中で、将来的に現地のパートナーと交流し、事業を推進する責任者や現地と日本をつなぐ橋渡しマネージャーの必要性が社内で求められてきたからです。
また、近年は現地事情に精通し、日本語能力、文化・風習等も身に付けている日本国内大学の外国人留学生をグローバル人財の有力な候補として積極的に採用していきたいという要素も加わっています。現在、弊社では200人程度の外国籍社員が在籍しており、中国、韓国をはじめ東南アジアなどの様々な国の社員が活躍しています。
新卒採用については、年度にもよりますが事務系・技術系の大学・高等専門学校卒の採用数700人程度の内、30名~50名ぐらいの外国人財を採用しています。今後は、新卒採用数の1割ぐらいを外国人財で確保するという目標を持っています。
採用を行っていて感じることは、外国人は日本人学生と比べて自分のキャリアプランや将来のビジョンを明確に持っている部分が評価できます。きちんと目的意識を持っているので、自分はこうしたいということについて具体的にイメージを持つことができています。そのため入社後も会社の業務を行う上で何をしなければならない、こうすればよいという自発的な思考を持つことができるというのが強みだと思います。
外国人採用の手法と選考方法について教えてください。
現在は、外国人と日本人と同じ基準で採用しています。その採用の手法としては、技術系ついては、「ジョブマッチング」という手法にて採用を行っています。この仕組みは、事業所毎に業務内容、必要なスキル等を公開して、学生は3つまで希望の事業所(業務)をエントリーすることができるため、自分がやりたい業務を選べる仕組みになっています。面接についても、各事業所の将来、上司になるかもしれない人が面接をするため、入社後にミスマッチがおこりにくい採用をしています。
一方で、事務系の方は自由応募で行っており、エントリーした後に適性テストと面接にて採用が決まります。採用決定後は、配属面談をした上で配属先が決定します。
また、適性テストについても日本人と同じ基準で行っていますが、適性テストの結果のみで合否を判断するわけではありません。我々としてもグローバルな人財を求めていますので、例えば中国語やドイツ語が出来るなどの言語能力や留学経験などについては、エントリーシートを見ながら、その結果と合わせて総合的に判断をしています。
外国籍社員の入社後の定着に向けた取り組みについて教えてください 。
弊社の場合は、日本人・外国人社員含めて、半年に1回、上長と目標管理制度の面談をすることになっています。それに合わせてご自身のキャリアをどうするのかを考える仕組みを採用しています。
また、自ら希望する職場に直接異動を申請することができる「FA制度」・「グループ公募制度」を導入しており、人財の活性化とチャレンジする気風の醸成を図っています。
このように、社員のキャリアを考えながら業務の希望や適性をマッチングしていくことで離職率は日本人社員含めて非常に低くなっているため、結果的に定着につながっていると思います。
「アジア人財資金構想」に対して期待することと要望などはありますか。
今後は留学生を含めた外国人財に対して、教育機関に求めるのは話す能力だけでなく、ビジネスシーンで多く使われる「読む能力」と「書く能力」が必要だと感じています。この2つの能力は業務を進める上で無くてはならないため、学生時代に訓練をして頂けると受け入れ側としては助かります。そういう意味では「アジア人財資金構想」の事業では、ビジネスシーンで使える日本語を学習するということは非常に意義のあることだと感じています。
Company Information

株式会社日立製作所
本社所在地:東京都千代田区
事業内容:情報・通信システム、電力・産業システム、昇降機等の開発、製造、販売、ソリューション提供、及びこれに関連するコンサルティング・サービスなど
創 業:1910年(明治43年)
従業員数:359,746名(2010年3月末日現在)(連結)
■電力システム社、社会・産業インフラシステム社、都市開発システム社、情報制御システム社、情報・通信システム社、ディフェンスシステム社、電池システム社の7つの社内カンパニーを中心に、連結子会社900社、持分法適用会社157社、計1,057社(2010年3月末日現在)で、日立グループを形成している。
相手にきちんと伝えることができるコミュニケーション能力が重要
蘇 粟(すー すー)さん
出身地:中国北京市
出身大学:東北大学 工学研究科 電気・通信工学専攻
「アジア人財資金構想」高度専門留学生育成事業 国立大学法人 東北大学国立大学法人 東北大学
産学協同により地域創造型アジアIT人材育成・定着プログラム 第1期卒業生

日本に留学したきっかけや時期を教えてください。
大学に進学した頃から、卒業後は海外の大学院に進学しようと思っていました。留学先を考えたときに、中学・高校の4年間を過ごした日本を考えたのは自然なことでした。2004年5月に来日し、10月に東北大学大学院博士前期課程に入学して、電力系統の安定度について博士後期課程修了まで5年間学びました。
「アジア人財資金構想」プログラムで印象に残っている授業は何ですか。
印象に残っているカリキュラムは2つあります。1つ目は、出題された長文の要点をまとめるビジネス日本語の授業です。2つ目は日本語レベルテストです。色々なシーンを設定して先生と1対1で話し、会話での日本語能力がどれだけあるかを測定するものです。このテストを通して、自分の得意・不得意を明確にする事ができ、苦手なところを重点的に勉強することができました。また、就職活動の際には、日本におけるビジネスマナーの研修などが役に立ちました。
就職活動はどのように行ったのですか。
はじめは「アジア人財資金構想」が主催するフォーラムへの参加、及び企業による会社説明会に参加することを通して、企業が望む人材像について学ぶとともに、自分が入社したい企業を選定しました。大学で学んだ知識を生かせる強電メーカを希望していましたので、候補となる企業は数社しかありませんでした。また就職活動の後半では、博士論文で忙しい時期と重なったこともあって、受験した企業は2社のみでした。
就職活動で一番苦労したことはエントリーシートの作成でした。書面だけでいかに自分を表現するのかに苦しみ、加えて母国語ではない言葉で書くという難しさも感じました。ここで「アジア人財資金構想」で学んだ、本をよく読む習慣と簡潔に相手に伝達するための長文要約の学習が大変役に立ちました。
面接については、普段から大学で大勢の前で発表をする機会が多くあったため、あまり苦労することなく行うことができたと思います。
実際に会社に入っていかがでしたか。
2009年11月、日立製作所に入社し2010年3月まで火力発電所の計装制御システム(測定装置や制御装置のシステム)の基本計画に携わりました。4月から3カ月間の研修を経て、今は火力発電所内の電気システムの基本計画を担当しています。
入社していちばんイメージと違っていたのは職場の雰囲気です。電力インフラという社会を支える責任ある仕事ですから、きっと皆さん厳しい方ばかりだろうとイメージしていました。でも実際には、仕事に対しては厳しく取り組みますが、決して堅苦しい雰囲気ではなく、よくコミュニケーションを取っています。皆さんにフレンドリーに接して頂け、すぐに職場になじむことができました。
仕事は難しいこともたくさんありますが、できることをひとつずつ広げていくことで、着実に自分自身が成長していると感じられます。
日本語能力については、技術系の仕事であるため、正しさよりも、簡潔明瞭な、誤解のない説明力が重視されると感じました。ただ、今後はお客様へのプレゼンテーションや打ち合わせなどもあるので、敬語や礼儀正しい伝え方などを身につけていきたいと思います。
「アジア人財資金構想」で学習したビジネス文書やメール文書の作成などが今の仕事でとても役立っていると実感しています。
将来のキャリアビジョンや夢を教えてください。
子供の頃から日本と中国を行き来し、国境を越えた人々との交流の楽しさや、文化の違いを超えて互いに理解し合える喜びを実感してきました。この経験から、将来は自分の習得した技術を生かし、世界中の国や地域、文化を結ぶ架け橋になれるような仕事をしたいと思っています。技術者として一人前になることが、自分の夢をかなえる第一歩だと思いますので、まずは自分の知識やスキルを向上させ、プラントの電気設計を任されるように頑張っていきます。
これから就職活動を始める留学生にアドバイスをお願いします。
就職活動の面接では、留学生だからと臆することなく、言いたいことをきちんと伝えようとする姿勢が大切だと思います。
また、学生時代に、日本語の本を読んだり書いたりすることを習慣付けることが必要だと思います。分からないことをそのままにせずに、丁寧に辞書で調べていくことが日本語能力の向上につながると思います。
最後に、就職活動は自分自身をみつめなおす良い機会だと思います。大変なこともあるかもしれませんが、これまでのこと、将来のことを真剣に考えることがきっと自分の成長につながっていくと思いますので、ぜひ前向きに取り組んでください。
上長からの一言
株式会社日立製作所 電力システム社 火力事業部 火力システム計画部 グループリーダ主任技師 杉原 雅さん
明るく積極性なキャラクターで、入社してすぐに職場に溶け込みました。社内でのコミュニケーションは問題なく、学生時代に「アジア人財資金構想」で指導頂いた効果があったものと考えています。早く一人前のエンジニアになって世界中を飛び廻り、多くの人々の生活を支え、豊かにする架け橋になってもらいたいと思います。

